第1話 貧乏剣士は借金返済しながら勇者を夢見ました

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第1話 貧乏剣士は借金返済しながら勇者を夢見ました

 貧乏な剣士レイブンは勇者になることを夢見る若手冒険者だ。冒険者の頂点である勇者になるために実績を作りたい。彼は剣術を得意としているけれど、特技がない。技術的な変革が必要だった。  俺が勇者になるには冒険者ランクを駆け上がるしかない。もっと剣技を極め、確固たるものにする必要がある。  彼は剣術の実力向上につながる教育体制が得られず、見様見真似で訓練してきた。指導を受けるにも金が無い。憧れとする剣士は、大昔の伝説の剣聖で、相手に状態異常を与えて勝つ戦術が得意だとされていた。   レイブンには一撃必殺がなく、手数とスピードで攻めるスタイルだ。更に、相手に状態異常を与えれば効率よく戦えると考えていた。最近、冒険者ランクをBランクにまで上げる。勇者に推薦されるにはSランクが必要だ。勇者になれば正式に魔族退治ができる。  俺は魔族に故郷を奪われた。この数年、魔族が王国に侵略攻撃を仕掛けている。王国には治安維持が必要だ。  街に散歩に出たある日、魔導書店の前を通ると、伝説の剣聖の著書とされる古流剣術の秘伝書が売っている。  これは喉から手が出るほど欲しい!憧れの剣聖の剣技が学べる。値段はいくらだ? なんだと!?俺の生活資金3年分じゃないか!! 店主に確認を取る。 「すいません。この剣術書は取り置きできますか?」 「いいや、早い者勝ちだよ!すでに何件か商談が来てるし、いつ売れてもおかしくないかな。高額な本だから、みんなすぐには買わずに検討中だけどね。貴重な掘り出し物だよ」  レイブンには、直感的にある考えが浮かんだ。借金してでも買うしかない!今、買わなければ今後二度とこの本に出会うことはない。ここが金の使い所だ!  彼は冒険者ギルド受付に相談に来た。 「融資の相談です。600万ゴールド借入したいです」 「いきなり600万! レイブンさん一体、何をするんですか?」 「剣術書を買います。審査して下さい!」 「そんな高額な本があるんですね!? Bランクなら貸せないことはないですけど、今後のクエスト報酬から天引きで返済ですよ……今の仕事のペースだと返済に6年はかかります! レイブンさん、もう少し考えてから慎重に判断しましょう」 「では、冷静に考えました。600万貸して下さい」 「分かりました……」  レイブンは借入手続きの後、小切手600万ゴールドを手にした。  間もなくして、レイブンは無事、古流剣術の秘伝書を手に入れる。秘伝書の知識で状態異常剣技を次々に身に着けていく。クエストで実戦をこなしていくと、状態異常剣技はレイブンの剣技スタイルと相性が良く、驚異的なパフォーマンスを発揮した。  一年が経つ。レイブンは経験を重ねて実力を飛躍的に上げた。パーティーリーダーとして日々高額案件をこなす。借金はほとんど返していた。ランクはAに昇格している。ギルドへの貢献度も高く、ギルドマスターや冒険者達からの信頼も厚い。  俺の自己投資は見事に当たった!借金は安すぎたくらいだ。俺は勇者まで登り詰める。  ある日、クエスト帰りにギルドに寄ると、ギルドマスターから、相談室に呼ばれた。 「レイブン、面談だ。話がある」 「何ですか? 返済は滞っていませんよ」  ギルドマスターが真剣な表情になった。 「君の実績を評価してSランクに昇格させる。魔王軍討伐の一員として、国王に勇者候補推薦できるけど、どうする?」 「お願いします!! 俺の剣技で魔王軍討伐を成し遂げます!」  レイブンはここから羽ばたく。   
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