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そう言って菫は笑う。それはまるで悪戯を成功させた子どものようだった。その表情に風雅の胸がキュンと締め付けられる。
菫は大学に入学するまでアメリカに住んでいた。所謂帰国子女である。そんな菫と入社式で出会った風雅は、雰囲気がどこか違う菫から目が離せなかった。
(何だか眩しい人だな……)
菫は明るく、どんな人とも打ち解けることができた。そして仕事もテキパキとこなしていく。そんな菫に風雅は惹かれていつの間にか惹かれていたものの、告白などできずにいた。
自分に自信がなく、大人しいとよく言われる性格である風雅に、菫は告白をしてくれた。そして今に至る。
「風雅くん、今日はお昼一緒に食べれそう?」
「うん。多分大丈夫だと思うよ。社食で食べる?」
「う〜ん。今日は二人きりがいいかな」
そう言いながら菫は風雅の腕に自身の腕を絡ませる。アメリカ暮らしが長かったせいか、菫は街中でもこのように平気でスキンシップを取る。そのたびに風雅は心臓が止まってしまうのではないかと思うのだ。
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