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ヒルカワ氏は、バーンと大袈裟に両腕を広げました。長年舞台に立ってきた人物だけあって、こういうポーズはよく似合っています。
「これだけの用意の上、あなた方の警備もある。さすがの大怪盗でも、歯が立たないでしょう!」
高らかに笑い出しそうな表情です。そんなヒルカワ氏から視線を外して、赤羽根探偵は、部屋を見回しました。
たくさんの男たちがいますが、服装から判断すると、警官だけとは思えません。私服刑事も含まれているかもしれませんが、大部分は、ヒルカワ氏が用意した若者なのでしょう。
現在のヒルカワ氏は、後継者育成に熱心であり、二代目ヒルカワの他にも大勢の弟子を抱えているそうです。タレント事務所を経営しているという話も、赤羽根探偵が集めた情報の中に含まれていました。
赤羽根探偵の助手は、森杉蘭華のみ。彼女は今、彼の斜め後ろで、手帳に色々とメモしています。ヒルカワ氏の話を逐一記録したり、この現場の見取り図を付記したり、忙しいようです。
さらに見ていくと、視界に入るのは、ドア付近に佇む二代目ヒルカワの姿でした。師匠のヒルカワ氏とは対照的に、この展示室でも心配そうな表情をしています。
彼女の態度が、赤羽根探偵の印象に強く残るのでした。
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