第1話 予告状

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     フラワー・シーフ。  最近、世間を騒がせている大怪盗です。正体は女性らしいと噂されているけれど、あくまでも噂だけ。変装の名人であり、誰も素顔を知りません。  直訳すれば『花泥棒』となりますが、実態は全く違います。狙うのは美しい宝石ばかりで、盗んだ後には代わりに花を一輪残していく、というのがお決まりの手口でした。  そしてもう一つ、赤羽根探偵事務所と警察に予告状を送りつけるのも恒例行事。今回の手紙には、署名がわりの薔薇マークと共に、次のように書かれていたのです。 『今週末の日曜夜  稀代の奇術師ヒルカワ氏の邸宅へ伺います  赤い瞳の涙を頂戴しに』    
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