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第3話 展示室
「見てください、この厳重な警備!」
赤羽根探偵たちを引き連れて、ヒルカワ氏が向かった先は大きな展示室。貴金属を飾ったガラスケースが、たくさん置かれています。
部屋の中央には無粋な鉄格子の檻があり、中には、黒光りする小型金庫が鎮座していました。
「『赤い瞳の涙』は週末まで、このように保管しておきます。これでは自慢の宝石も鑑賞できないが、今だけは仕方がない」
残念そうな口ぶりです。赤羽根探偵たちに宝石を披露できず、とても悔しいようです。
フラワー・シーフに狙われている『赤い瞳の涙』は、ヒルカワ氏がマジシャンとして最盛期だった頃、成功を記念して購入した巨大ルビーです。世界最大級のサイズで値段も驚くほど高価ですが、一億円の保険金がかけられている、という話もニュースで騒がれました。
そのような事前情報を、赤羽根探偵が思い返している間に、
「まずは、この鉄格子です。物理的に破るのが困難なだけでなく……」
ヒルカワ氏が檻に近づくと、警報が鳴り響きました。
「……ご覧の通り、接近を感知するセンサーが設置済みです」
警報音のせいで説明が聞きづらいですが、すぐに鳴り止みました。ヒルカワ氏は、天井の四隅にある小型カメラを指し示します。
「この部屋自体、監視カメラで見張られています。モニター室には常に数人が待機状態で、見落とす心配もない」
ならばモニター室にいる誰かが、うるさいアラームを消してくれたのでしょう。不審者が近づいたわけではない、と理解した上で。
「さらに、鉄格子の中の金庫はダイヤル式で、番号は私しか知らない。どうです?」
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