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第4話 日曜夜
日曜日。
夕方の展示室に、赤羽根探偵たちは、再び集まりました。
「予告状の文言は日曜夜。漠然としていますが、どう思います?」
ヒルカワ氏が尋ねた相手は、赤羽根探偵と辺周警部です。フラワー・シーフについて詳しい二人でした。
真面目な顔で、赤羽根探偵が答えます。
「過去の例から考えて、犯行時刻は午後七時からの数時間、日付が変わるまでですね」
辺周警部が黙って頷くと、ヒルカワ氏は再び口を開きました。
「ならば、まだ少しは余裕もあるでしょうが……。そろそろ最終チェックにしたい」
天井のカメラに向かって、手で合図します。モニター室の者たちに、一時的に防犯装置を解除させたようです。ヒルカワ氏が檻に近づいても警報が鳴らないだけでなく、まるで王を迎える城門のように、ゴーッという音と共に鉄格子の一部が上へ移動しました。
ヒルカワ氏は中に入っていきます。今日の彼は、フォーマルシャツとタキシードを着込んでおり、手には白手袋、頭にはシルクハット。赤羽根探偵の目には、いかにも奇術師という格好に見えていました。マジシャンの正装はヒルカワ氏にとって戦闘服であり、怪盗フラワー・シーフに挑戦する気分なのでしょう。
そう赤羽根探偵が考える間に、ヒルカワ氏はダイヤルを回して、金庫を解錠。中から赤い宝石を取り出しました。
「見てください。これが『赤い瞳の涙』です」
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