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でもある日。
「ルルー」
わたしを呼ばれたわけではないのに、こちらに向かって呼びかける声に思わず反応してしまう。
「え? あ、リリ? またからかってるの?」
「何のこと?」
「え、じゃあルル? あなたルルよね?」
「何のこと?」
「え、え」
この子はリリじゃない。ルルでもない。でも、ララなわけもない。ララはわたしのはずだもん……。
「ねえ、ルル」
『リリ』でも『ルル』でもない、『ララ』かもわからない女の子が優しい声で『わたし』を呼ぶ。
「やめて、わたしはルルじゃない!」
「何で? あなたはルルでしょ? わたしのかわいい妹よ」
「やめてよ、わたしはララなの。わたしはリリのお姉ちゃん、ルルなんて知らない!」
わたしはルルに背を向けて走った。
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