三つ子ごっこ

3/5
前へ
/5ページ
次へ
 でもある日。 「ルルー」  わたしを呼ばれたわけではないのに、こちらに向かって呼びかける声に思わず反応してしまう。 「え? あ、リリ? またからかってるの?」 「何のこと?」 「え、じゃあルル? あなたルルよね?」 「何のこと?」 「え、え」  この子はリリじゃない。ルルでもない。でも、ララなわけもない。ララはわたしのはずだもん……。 「ねえ、ルル」  『リリ』でも『ルル』でもない、『ララ』かもわからない女の子が優しい声で『わたし』を呼ぶ。 「やめて、わたしはルルじゃない!」 「何で? あなたはルルでしょ? わたしのかわいい妹よ」 「やめてよ、わたしはララなの。わたしはリリのお姉ちゃん、ルルなんて知らない!」  わたしはルルに背を向けて走った。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加