ベルフェゴールの肉細工

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 そのつぎの日まで、彼は昨日の姉の言動に苛ついていた。その日は日曜日だったので、彼は一日中自室でパソコンからツ●ッターをしていた。 『牛角絶対に許せないな。男性差別をするだけでは飽き足らずリプ欄を閉じて男性差別反対の良識派の表現を奪うという狼藉! 私はこういうキ○ガイを見ると俄然闘志が湧いてくるんだよ。猛抗議をかけてやるからな。待ってろよ!』  そうツイートすると、さっそくフォロワーからリプライが飛んできた。 『素晴らしい意気込みです! 実は私、牛角に昨日から抗議の電凸をしているのですが、男性差別を許さない会さんも一緒にどうですか?』  イイネを押すとすぐに『素晴らしい! 私も仕事が休みなので、やってみます』と返信した。  彼はパソコンでツイ●ターの画面を開きながら、スマホを手に取り牛角に電話をかけた。  たくさんの抗議の電話が来ているのだろう。なかなか人が出なかった。不安になるような電子メロディーを聞きながら、ふと昨日の姉の言葉を思い出す。 『明日、智樹(ともき)がうちに挨拶に来るんだけど、お兄ちゃんのこと見られたら恥ずかしいから、一階には降りてこないでね』  ふざけるなぁああああこのクソアマがぁあああ!!!!! 思わず壁を殴りそうになった。いけないいけない。下には姉の婚約者(智樹とやら)が来ている。もし何か大きな音を出して問題を起こそうものなら、家から追い出されてホームレスになってしまうだろう。  彼はフーフーと鼻息荒く呼吸をしながら、このやるせない怒りを牛角のカスタマーセンターの社員に晴らしてやろうと思った。 『お電話ありがとうございます。こちら――』  やっと電話がつながった。しかも、女。これは好都合だ。
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