ベルフェゴールの肉細工

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「うちの子が発達障害だったなんて……」  姉の息子が小学校に上がってすぐ、ある日の昼過ぎ、小腹が空いてお菓子とジュースを取りに一階に降りた彼は、リビングの椅子に座りふさぎ込んでいる姉の姿を見た。テーブルをはさんでその向かいには、母が座っていた。 「でも、ほら、その……ABCDって天才が多いっていうじゃない」 「それは漫画家とか芸能人とかほんの一握りでしょ、お母さん」 「まぁ、大丈夫なんとかなるわよ」 「大丈夫じゃない奴がうちにいるじゃない!! うちの知人(さとし)がああなったら……」 「落ち着きなさい、知子(さとこ)。薬もあるし、知人(さとし)は賢いしいい子よ。もう小学校でお友達もできたみたいだし」 「でも……でも……」  お通夜みたいになっている母と姉の横で、とうの本人は呑気にアニメを見ていた。  普段なら『俺がアニメを見ていたら女どもに(ツイッ●ーで)馬鹿にされるのにコイツはァ! ぶん殴りてぇ!』と思うところだったが、今は愉快だった。 『ざまあみろ! 俺と同じ名前などつけるからだ! お前は俺だ! 俺はお前だ! さぁ絶望しろ! お前の人生の答え合わせがここにいるぞ!!』
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