0人が本棚に入れています
本棚に追加
「うちの子が発達障害だったなんて……」
姉の息子が小学校に上がってすぐ、ある日の昼過ぎ、小腹が空いてお菓子とジュースを取りに一階に降りた彼は、リビングの椅子に座りふさぎ込んでいる姉の姿を見た。テーブルをはさんでその向かいには、母が座っていた。
「でも、ほら、その……ABCDって天才が多いっていうじゃない」
「それは漫画家とか芸能人とかほんの一握りでしょ、お母さん」
「まぁ、大丈夫なんとかなるわよ」
「大丈夫じゃない奴がうちにいるじゃない!! うちの知人がああなったら……」
「落ち着きなさい、知子。薬もあるし、知人は賢いしいい子よ。もう小学校でお友達もできたみたいだし」
「でも……でも……」
お通夜みたいになっている母と姉の横で、とうの本人は呑気にアニメを見ていた。
普段なら『俺がアニメを見ていたら女どもに(ツイッ●ーで)馬鹿にされるのにコイツはァ! ぶん殴りてぇ!』と思うところだったが、今は愉快だった。
『ざまあみろ! 俺と同じ名前などつけるからだ! お前は俺だ! 俺はお前だ! さぁ絶望しろ! お前の人生の答え合わせがここにいるぞ!!』
最初のコメントを投稿しよう!