放課後、屋上で君を待つ

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夕暮れの薄明かりの中で、二人は何も言わず、ただ隣り合わせで座り続けた。その静けさが、かえって二人の距離を近づけるかのようだった。律は、ほんの少し触れるだけでも安心できるような温もりがすぐ隣にあるのを感じたが、敢えてその距離を詰めることはしなかった。 その後、校舎を離れる際に律がふと手を伸ばし、軽く綾人の肩に触れた。ふいに感じたその温もりが、律の心に小さな灯を灯し、次の一歩を踏み出すための勇気となった。 「また、話してもいいか?」 律の問いかけに、綾人は少しだけ照れたように頷き、静かに答えた。 「…いつでも、待ってる」 その返事は短く、けれど確かなものだった。
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