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健斗は今日行われる劇で王子様役を演じる。健斗は俳優のように整った顔立ちをしているため、女子生徒から人気だ。彼が王子様役をすると決まった時、多くの女子生徒がお姫様役に立候補した。健斗に想いを寄せている杏奈もその一人だった。
お姫様役に立候補した人が多すぎて、オーディションが開かれた。その結果、杏奈はオーディションに落ちた。お姫様に選ばれたのは、一年生の女の子だった。
「……あっ!そろそろ教室行かないと!」
杏奈は教室に行こうと健斗から背を向けた。すると健斗から手首を掴まれた。杏奈の胸が締め付けられる。
「俺はお姫様役、霜月がいいと思ってるよ」
「へ?」
健斗はそれだけを言うと足早に去っていった。杏奈は呆然とその場に立ち尽くす。健斗の言葉を理解するのに数十秒かかった。
「今の、どういう意味?」
真っ赤な顔で杏奈は呟いた。
文化祭が始まると、杏奈のクラスは一気に騒がしくなった。文化祭は外部からも大勢の人がやって来る。そのため、コスプレカフェはお客さんで賑わっていた。
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