成長

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< 9 月 に>   「あれっ?花が咲いてる」  淡い紫色の花が咲いているのを瑞希は発見した。  「きれい、きれい」  瑞希は手をたたいて喜んだ。  間も無く小さなイモが実り始めると思った瑞希は、一日に何度も畑に出掛け様子を見に行った。けれど一向におイモの姿が見付けられない。  心配になった瑞希は、先生に聞いてみることにした。  「先生、お花が咲いたのにお芋さんが生らないよ」  すると、先生は  「お芋さんはね。土の中で大きくなるの。でもまだ、土を掘ってお芋さんを起しちゃダメよ。途中で起こすと大きくならないからね。寝る子は育つのよ」  そう、教えてくれた。 「あっ、そうだった」  瑞希はそれを聞いて、自分が春からイモ掘りを楽しみにしていたことを思い出した。地上に実ってしまっては、イモ堀は出来ないのである。  その日の瑞希は晩御飯の後、直ぐに眠りに就き、翌朝パパに身長を計ってもらった。  しかし、全く育ってはいなかった。  それから瑞希はストローを土に刺し、おイモさんに話し掛けることにした。「が・ん・ば・れ!」「大きくなれ!」「美味しくなれ!」と。  一方、郁ちゃんは両手で土を揉んでいた。  どうやら郁ちゃんは、マッサージをするとイモが元気になると思ったらしい。お父さんのように。
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