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「それでも、あなたはやっぱり、酷く自分を責めちゃうのよね…?自分が、あの生徒さんを殺した、って、そう思っちゃうんでしょう…?だから、教師を辞めて、部屋から出られなくなっちゃったのよね…?でも、大丈夫よ。あなたの心が落ち着くまで、このままでいてもいいのよ。お母さんはちゃんと、分かってるからね」
本当の息子は、亡くなってしまったが、その現実に耐えきれなかった母は、息子は死んだのでは無く、部屋に引きこもってしまったのだ、と無理矢理思い込み、クマのぬいぐるみを、"偽物"の息子として、生きているように接したのだ。
息子は、1年前に亡くなり、その1〜2ヶ月後、今のアパートへと引っ越し、現在、工藤さんがお隣の住民となった。
息子の分にと朝食に、塩結びやら、アスパラのベーコン巻きやらを作り、テーブルの上に置いてはいたが、それは実際は、母本人が朝に食べていた。そして、仕事から帰って来た時、いかにも息子が食べてくれた、という風に思い込む事で、母はなんとか生きようとしたのだった。だからあの日、お昼ご飯用にと、冷蔵庫に入れて置いたパンは、そのまま冷蔵庫の中にあったのだ。
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