1人が本棚に入れています
本棚に追加
教師になるという夢を叶え、順調な日々を送っていた息子は、数年後、突然仕事を退職し、自分の部屋に引きこもるようになった。
母子家庭である為、息子が部屋からほとんど出なくなってしまった事で、母は家にいても、何処か孤独だった。それでも、息子が家に居てくれる、それだけで十分だと自分に言い聞かせ、今日もいつものように、朝食の準備をする。
息子の大好きな塩結び(海苔なし)2つと、アスパラをベーコンで巻いた物、目玉焼きに、豆腐とわかめの味噌汁を作り、ダイニングテーブルの上に置き、ラップをかける。そして、朝食が出来上がると、母は息子の部屋のドアを軽くノックした。
コンコン
「朝ごはん、テーブルの上に置いてあるからね。お昼は、パンあるから、好きなの食べて?」
息子は、目は覚めてはいたが、布団を頭まで被ったまま、返事一つしない。それでも、母は変わらずに、優しく声をかける。
「お母さん、もう少ししたら仕事行くからね」
やはり、息子には無視されたが、けれど、母はめげる事なく、明日も明後日も、息子の為に頑張るのであった。
最初のコメントを投稿しよう!