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「あー、貴女のお名前何でしたっけ?」
「ソフィア」
「じゃあソフィアさん、王家の跡取り事情って知ってます?」
クレールは目に涙を浮かべ、時折くすくすと思い出し笑いをしながら上半身を起こしました。
「知らない」
「まぁ暗殺者が知る訳ありませんか。王家では基本的に長男が後を継ぐんですよ」
「それは知ってる」
「じゃあすぐに分かるでしょう?つまり私のような次男やそれ以下の人間は長男にもしものことがあった時の代替品にすぎないって訳です」
クレールは路傍に唾を吐き捨てるような口調で言うと、「だからね」と満面の笑みを浮かべました。
しかしその笑顔は、あまりに歪んだものでした。唇は醜くつり上がり、目の際は狐の目のように細められ、瞳には野心と呼ぶのも気が引けるものがぎらぎらと輝いていました。
「私はあの国王と王子を殺そうと思っているんですよ。私を息子や弟ではなく国の為の代替品としか認識しない、あの素晴らしく腐ったクソ親父とクソ兄貴を、ね」
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