お笑い芸人が深夜ラジオをクビになる話

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 ラジオから聞こえてくる安森のトークは、面白いことは面白いのだが深みがない。深夜というのはもっとディープでアンダーグラウンドな雰囲気も必要なのだ。孤独な夜を一緒に過ごすようなひっそりとした、だけどどこかワクワクするそんな話術。それがやつにはない。いわば激辛カレーを食べに行ったのに甘口カレーが出てきたようなガッカリ感。今ごろ俺のリスナーたちは激辛カレーを食わせろと怒り心頭だろう。  きっとクレームも殺到しているはず。俺はリスナーの反応が気になって放送終了後にディレクターへ電話をかけた。 「安森の番組、聴きました」  俺の第一声にディレクターの息を呑む音が聞こえる。 『聴いてたのか。それで、どうだった?』 「ダメですねアレ。深夜のノリがまったく分かってない。リスナーからのクレームも多いでしょ」 『ああ、さっきからその対応でバタバタしてんだ。もちろん良かったという感想も届いているが、それ以上にクレームが来ているのも事実だ』
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