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電話の向こうから聞こえてくるディレクターの悩ましい声に俺はほくそ笑む。やっぱり俺のリスナーだ。分かってるじゃないか。もしかしたらクレームの内容によっては俺が返り咲くというパターンもあり得るかもしれない。
「それで俺のリスナーたちはなんて言っていたんですか?」
ベッドから上半身を起こし、前のめりで訊いた。まるでクリスマスの朝に目覚めた子供のような希望に満ちた気分だ。どんなクリスマスプレゼントが俺を迎えてくれるのだろう。
俺の深夜ノリが忘れられないから戻してくれという懇願だろうか。それとも安森のトークが物足りないというお叱りか。はたまた突然打ち切りを決めたラジオ局への抗議かもしれない。
ディレクターの答えを俺は待った。しかし彼は「それが……」と口ごもるばかり。言葉にするのも憚れるほどのクレームなんだろうか? もしかして安森への殺害予告とかラジオ局への爆破予告といった類いのものかもしれない。
「じれったいなぁ。早く教えてくださいよ。どんなクレームだったんですか」
俺が促すと、ディレクターは渋々といった様子でようやく口を開いた。
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