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しかし俺は反論しようと用意した言葉を飲み込んだ。なぜならディレクターの目にうっすら涙が浮かんでいたから。
代わりに俺の口から滑り出たのは、むしろ真逆の言葉だった。
「……それで最終回まで、あと何回やらせてもらえるんですか」
「一回。今週分で終わりだ。来週からは安森の新番組が始まる」
唐突な最終回に俺ですら言葉を失ってしまう。しかも内容は、通常通りでエンディングに番組終了の挨拶をするだけだという。誰が聴いても打ち切りとわかる終わり方だ。自分の口で自分に引導を渡さなければいけない。なんて残酷なことだろう。
「俺は分かりましたけど、リスナーはどうするんですか。彼らは俺のトークを求めてるんです。絶対、納得しませんよ」
「上はリスナーの反応よりスポンサーを取ったんだ。俺がとやかく言える立場にないのは分かっているだろ。もうそういう次元の話じゃないんだ」
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