101人が本棚に入れています
本棚に追加
「郁、戻って。動けない」
「…はい」
そう返事をしてソファーに座って、大人しくしていると類くんがテーブルにホットミルクティーを置いてくれる。
映画を一緒に選んで、話題になっている作品を選んで横並びでリラックスしながら映画を見る。
「(な、何か寂しいな?)」
少し間の空いた距離にすら寂しさを感じる。
映画が始まると類くんはコーヒーが入ったマグカップを持って口を時々つけているからくっつけないし。
全然映画の内容なんて入ってこない。
こういう時相変わらず素直に甘えられない自分も、面倒な性格していると思う。
そんなことを悶々として考えていると、類くんがマグカップをテーブルに置く。
「何か遠くない?何でいつもくっついてくんのに今日こんな絶妙な距離取ってくるわけ。寄れば。」
そう言いながら私の肩を抱いて寄せると、そのまま頭も肩の方まで寄せられてポンポンと頭を撫でられる。
「(ず、ずるい~!)」
類くんのこういうさりげなく甘い所がズルくて好きで、悶々としていたことが吹き飛んでいく。
「好きです、無理…」
「は?」
相変わらず様子がおかしい私に類くんは意味わかんないとでも言いたげな顔をしていたけど、気にする事無く映画の方に意識を戻していく。
結婚しても変わらない事が多くて時々夢なんじゃないかと思ってしまうけど、この幸せな日常さえあればいいかと思ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!