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プロローグ
日本は安全で住みやすい国と言われてるが、本当にそうなんだろうか。
「だ、大丈夫ですか?」
深夜3時過ぎ、勤務先の総合病院から歩いて帰ってる途中、小学生と思われる少年にカッターナイフで腹を刺されたイケメンを保護した。
「救急車呼びましょうか。あ、ここから歩いて5分のとこに救命救急センターあるのでそこに行きましょう!!病院に電話してみます」
救命救急センターに電話をかけるため、ポケットからスマホを取り出す。
「辞めて下さい。……少年が捕まってしまう。私は大丈夫です」
穿通性による腹部外傷。
カッターナイフが体内に何cm入ったかわからないが、出血量から皮下の脂肪と筋肉だけが損傷を受けてるだけだとは思う。
腹腔に到達していたら臓器や血管を損傷しているかもしれないが、出血量からしてそれはなさそうだ。
「仕方がないな。実家が近くでクリニックしてるからそこで応急処置してあげる。私、これでも一応、医者だから。着いてきて」
歩いて15分ほどのとこにある。
裏口から院内に入り、深夜時間帯で灯りが消えている手術室へ向かう。
「勝手に入って大丈夫なのか?」
「大丈夫。実家だし」
大丈夫ではないけど、ほっとけない。
「手術台に横になって」
手術着に着替えて、手に手術用手袋を装着し、イソジン+ハイポで消毒後に部分麻酔を打ち、カッターナイフの刃を取り出した。
「筋肉に助けられたね。見事なシックスパック。刃の方が折れちゃいそうだわ。かけらないと思うけど、レントゲンとって調べた後に縫合するね。内部出血は体に吸収されるから。でも、たまに血腫が吸収されずに破裂することあるから様子を見た方がいいわ」
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