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エンジェル side 結翔
ただ、クライアントの要望通りの建築物をイメージしてカタチにしただけ。
建設に関し基準は満たすも、施工管理を任せている現場監督と衝突の末に受注会社を変え、恨みを買い、悪質な嫌がらせを受けていた。
まさか、小学生の息子に俺を殺すよう指示するとは思っていなかった。
建築業界はブラックだ。
オリンピックメイン会場の施工管理現場監督の任を降ろされ、息子に怨みを買ってもしかたがない。
カッターナイフで腹を刺されるも、この少年を罪人にしたくなかった。
『仕方がないな。実家が近くでクリニックしてるからそこで応急処置してあげる。私、これでも一応、医者だから。着いてきて』
腹の中央をカッターナイフで刺された俺に話しかけてきた20代前半ぐらいの女性。
深夜3時過ぎ、こんな時間に出歩いてる事に不審に思う。
自称医師を語る彼女に連れられて近くの個人経営の総合病院に連れてかれて、治療を受けた。
裏口から入り、手術室で俺はモルモットかと思う治療を受けた。
レントゲンもエコーも使いこなしている彼女の診察に不安は感じなかったが、不安だった。
初瀬工コーポレーションの御曹司一族の松栄。
創業者の祖父の再来になりたい。
建築業界に革命を起こしたい。
国内外で俺の設計した建築物は評価され、32歳で初瀬工コーポレーションの代表取締役社長に就任する。
理想と実現可能な建築のギャップに戸惑いつつ、社長の任を務めていた時に、俺は解雇した下請け会社の社長の息子に刺された。
事件にはしたくなかった。
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