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初期研修医の時はバイトができないのもあり、時間に余裕があり、精神面が穏やかでいられた。
小学生男子にカッターナイフで刺されるも、少年を罪人にしたくないからと病院に行くのを拒絶した初瀬社長。
格好よかった。
見た目が極上イケメンだったのもあり、彼を妄想の相手にして性的欲求を発散していた。
20代後半という性的欲求が高まる時期だから仕方がない。
「……拙かったな。色気が半端なくて、思わず応じそうになったから。個室とはいえ病室でやって誰かに見られたりしていたら、私の医師生活が終わってたわ」
医師が患者に手を出すなんてやってはいけない事。
神聖な医療現場で卑猥な事をしたらいけない。
流されなかった自分を褒める。
「神宮寺先生、先日は見苦しい姿をお見せしてすみませんでした」
行きたくなかったが兄に逆らえないから、産業医として初瀬工コーポレーションに出向きく。
「き、……気にしないで下さい」
カウンセリングルームの鍵を受け取るために総務課に向かうと、入り口に初瀬社長がいて、戸惑う。
「こちらの都合で申し訳ないですが本日の面談は全キャンセルさせていただきました。神宮寺先生には2度、命を救われました。お礼がしたいので私に着いてきて頂けませんか」
総務課と人事課は女性社員が多い。
容姿端麗な天才建築家の初瀬社長に憧れ恋情を抱いていて、嫉妬の眼差しを向けてきた。
「結構です。面談がキャンセルなら今日は帰らせて頂きます」
逃げるが勝ちと会釈をし帰ろうとしたら、
「待って下さい。では、私と面談して下さい。私も残業時間が超過していて体力的にも精神的にもかなりきてます。医学的知識からアドバイスを下さい」
手を取られ、仕事を口実に逃げられなくなってしまった。
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