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12本のバラの花束
救命救急センター。重篤な救急患者に対し、24時間体制で高度な医療を提供する三次救急医療機関。
「酔っ払いの交通外傷、この時期は多いよね」
12月に入り、本業が忙しい。
理由は忘年会シーズンで新橋の飲屋街に近い都立総合病院にゾンビ化した酔っ払いが流れ込むからだ。
警察も巡回して対応するも防ぎきれない。
中にはビルから飛び降りて虫の息で運び込まれる酔っ払いもいて、命を繋ぎ止めるのに奮闘する。
「残業続きで疲れるね」
日勤6:00〜15:00、準夜勤14:30〜22:30、夜勤22:00〜7:00と3交代制でシフトが組まれているが、準夜勤と夜勤は時間通りには帰れない。
準夜勤は6:30まで、夜勤は昼過ぎまで拘束される。
「準夜勤ばかりで、体壊しそう」
都内総合病院は深刻的な医師不足。
猫の手でなく専攻医の娘の手も借りたいと、内科の外来診療医のシフトに夜勤明けの私を入れる。
「……初期研修医の時みたいに夜中に帰れないからな」
初瀬結翔さんからLINEメッセージ。
近くのマンションに住んでるとの事だったから、夜中の2時までに帰れる日に連絡をすると返信した。
専攻医は初期研修医と違って、患者を診療するから入院患者がいたら容態が安定するまでは帰れない。
帰れるのは部長職の医師が8:30に出勤し、患者を引き継いでからだ。
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