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「ごめんね。私、医者としか結婚できないから。病院の一族経営の存続あるから」
病院を継ぐのは兄だけど、両親から医者になり優秀な医者の配慮を娶って実家クリニックを支えて欲しいと物心ついた頃から言われて育った。
祖父が設立したシバハートクリニック、一族経営で存続したいと願う親戚一同。
とはいえ、医者になるには学力だけでなく才能も必要で、手先の不器用さとコミュニケーション能力が低い傲慢な兄は内科医は務める事ができず、知能指数の高さとカリスマ性で子供の教育に携わりたいと精神科医になり塾経営を始めた。
精神科と心療内科を重点に置いてるクリニックだから、問題ない。
だけど、風邪等で通院する患者もいる。
いっその事、心療内科クリニックにして、塾経営に力を入れたらと思う。
兄のカリスマ性からか、他の科にも受診する患者が増え、かなりてんてこ舞いな状況下にあった。
「一族経営……この時代、死語だろう。優秀な後継にトップを任せるだけで、それなりに株式所有していたら経営が危うくならなければ安泰だろ。そのしがらみに囚われるのは危険だ!!」
創業者一族はいても、実力主義で家族経営の小さな会社出なければ社長にはなれないのが当たり前な世の中。
だから、創業者一族に産まれたがゆえに努力し、全てを諦めて生きている。
「私の生き方です。休憩時間が終わるので帰って下さい。私も午後から本業があるので」
毅然とした態度を取る。
天才若手建築家の彼も仕事がある。
無理して時間を作ってきたはず。
すぐに健康診断センターから出て行ってくれたから助かった。
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