過労死寸前

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過労死寸前

同情するなら休みをくれ。 家に帰れば、実家クリニックを手伝わさせられる。 冬本番、空気が乾燥し、気温の低くなるこの時期は、インフルエンザや、RSウイルスなどの呼吸器感染症と、ノロウイルス、ロタウイルスなどによる感染性が流行し、病院にとっては稼ぎ時。 待合室に病人を溢れさせるわけにもいかず、徹夜勤務を終え7時に家に戻り、シャワーを浴びて仮眠を取り、9時から自宅クリニックで外来勤務をする。 「症例件数になるから総合診療専門医の資格早く取れるんじゃない?」 そうではあるが、学会に提出する論文を作成する時間もない。 実家クリニックの外来が休みの日、本業の勤務がなかったら入院病棟の当直を手伝わされ、その合間に作成するも、寝落ちしてる。 「総合病院の娘って大変だね」 大学時代から親友、土谷紗智と内科学会に出席した帰りにランチする。 学会出席は私にとって休日だ。 友人と会ってランチやディナーにいける。 その後、カフェにこもってレポートを作成し、自宅に戻る。 なんとか学会や大学等の研究会には全て出席するも、半分しか話を聞けてなかったりする。 『名医になりそうな有望株を見つけ結婚して、シバハートクリニックに連れてこい!!』 と、兄に婚活だと言われ、行かされてる。 論文発表するような医師は学会に出会いなんて求めてないだろう。 あったとしても、有益な論文を発表する女医。 社畜いや院畜な私には有益な論文なんて作成できない。 専門医資格を取得し専攻医を修了するまでは結婚前提の交際は諦めている。
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