街灯

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 やばい、救急車、と思いかけて、あ、違う違う、と思い直した。ここで死んでいるのは、あくまでも小人であって、人間ではない。小人に保険は適用されない。  落ち着け。落ち着け。そう自分に言い聞かせて、僕はデスクの前に座り直した。でももはや仕事どころではない。パソコンを立ち上げる気にもならない。かといって枕元でこんな殺戮行為が繰り広げられていては、おちおち眠ってなんかいられやしない。  殺戮。そう、これは、一方的な殺戮なのだ。悪いのは、明らかに上の住民だ。いや、でも原因を作ったのは下の住民か。下の住民が上の世界を踏み荒らさなければ、こんなことにはならなかった。  スコン、スコン、まだまだ銃は放たれる。消しゴム弾は永遠に量産される……下の住民が、上に登ってこなくなるまで。  下から白衣をまとった小人が登ってきた。救急小人だ。息絶えた小人のもとに数人かけよる。そして、救急小人もまた、一人撃たれた。  もう無理だ。  これ以上は無理だ!  僕は、小人たちを砂を掻くようにして両端によせた。そして、サイドテーブルのちょうど真ん中あたりに、ずん、と、僕の家で一番重たいブックエンドを置いた。
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