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それに、僕は一人暮らしで、さみしかった。仕事も主に在宅で、テキストを入力して送信するだけ。会社とのやり取りもオンラインで済ませられる。そのため必然的に出会いもなく、小人に遭遇した、というだけでも胸が弾んでしまうくらいだったのだ。
ベッドに入る時間ではなかったけれど、僕はそっと街灯の電気をつけてあげた。小人は一瞬ぎょっとして見上げたけれど、明かりの灯った街灯のほうに心を動かされたようだった。僕の存在は大きすぎて、小人には大きな雲かなにかのようにしか感じられなかったのかもしれない。小人は僕がベッドに入るまで、街灯の明かりのそばでくつろいでいた。
その小人は次の夜も、またその次の夜も街灯のところに来た。その次の夜には、連れがいた。街灯にもたれかかり、肩を抱いてじっとしている。お前はひとりぼっちじゃなかったのか、と思った。
街へ出たついでに、僕は雑貨屋に立ち寄った。あの街灯が売られていた雑貨屋には、ほかにもミニチュアの雑貨がいろいろと売られていたはずだった。僕はそこで街灯によく合うベンチやテーブルを買い入れて、街灯のそばに並べてみた。
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