好きから始まった

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好きから始まった

小さい子だと50グラム、大きい子で150グラム。 それがチワワの新生児。 チワワは母犬が小さいから、胎児数が少ないと子が大きくなり過ぎて、わりと帝王切開必須な犬種。 ブリーダー対応かかりつけ医がいて、その病院は真夜中だろうが、お構い無しにみてくれる。 随分お世話になったけど、私が1番最初に取り上げた子犬の時は、胎児数2頭だったので超難産になった。 しかもこの母犬は気性が荒い。 宥めながら陣痛にあわせて引っ張りだす。 だけどなかなか出て来ない。 その時は初めてだったので病院へは行かなかった。 汗をかきながら必死に助産。 そうするうちに半分位出てきた子犬の体が紫色になってきた。 ヤバい……窒息してる。 半泣きになりながら一生懸命引っ張り、何分かかったか覚えてないけどようやく出た。 でも子犬は息をしない。 ヤバい、ヤバい、ヤバい……。 まず口で子犬の鼻に詰まった羊水を吸い出し、両手でしっかり持って思い切り振る。 それでも反応なし。 生きて、生きて、私の寿命を分けてあげるから、頼むから生きて! 兎に角、体をマッサージしまくった。 数分後……子犬はフッと息を吸い込み、可愛らしい声をあげ、肌の色がパーッと赤みを帯びた。 「よかった……」 この子は助かった。 泣けてきた。 その後もう一匹生まれたが、そっちは問題なく生まれた。 その死にかけた子犬は何を勘違いしたのか、私にベッタリになり、なにも躾しなくても私の言う事を理解した。 トイレも生後1ヶ月で覚え、離乳食を食べる時はちゃんとお座りして待っている。 小さい頃は追い泣きも激しかった。 私が居なくなると泣きわめく。 お陰で無二の存在になってしまった。 今頃は天国で元気にやってるかな? それともまだ私の側にいたりして。 嫌って程愛してくれてありがとう。 ずーっと好きだから。 もちろんその子以外の犬達もいた。 けれど、今はみんな天国へ行ってしまった。 1部を除いてみんな私が育てた犬達だった。 小さな子犬は歩き始める頃から個性が表れる。 この子はやんちゃだな、とか、この子は躾やすいな、とか。 多い時で子犬のみで20頭位いた。 全部うちが飼うわけじゃなく、巣立っていった子も沢山いたけど、生まれてから新しい家族の元へ行くまで。 人間大好きな優しい子に育って欲しいって、そう願いながら、毎日手塩にかけて育てた。 懐かしい思い出。 ただ、難産が多いという事は残念ながら亡くなる子犬もいる。 それに金銭が絡むと嫌な裏事情もあるし、段々心がすり減ってきて、やめる事にしました。 今はメダカ、鯉、インコを飼ってる。 老犬を次々と見送ったのが辛すぎて、もう犬を飼えなくなってしまった。 好きな事を仕事にするのって難しいし……自分の場合無理なのかな? って、そう思ったりしてます。
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