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凛々子の不幸は自分を蔑む二人にとって愉快な材料でしかない。
それは、今に始まったことでなく昔からそう。
真理子も美波も凛々子の顔が悲しく曇ることを何よりも嬉しそうにする。
過去に凛々子が、優秀な成績を収めた者に贈られる学校賞や読書感想文コンクールなどで賞を取った時には、真理子に賞状は破かれ盾を捨てられた。
凛々子に与えられたプレゼントや褒美の品などは、すべて美波へ流れ自分には何も残らない。
また、凛々子が誰か異性に好意を持たれたことを美波が知った時には、相手に凛々子のありもしないことを吹き込むし、凛々子が美人だと褒められれば、家でブスや根暗などと長時間に渡り暴言をしばらく浴びせた。
二人は凛々子が目立つのを極端に嫌う。
いつだって凛々子は二人よりも幸せでいてはいけない存在なのだ。
父と実母の祖父母は、凛々子に対し優しくは扱ってくれるが、父の祖父母は外国におり滅多に会うことはできないし、母の祖父母は北海道に住んでいるものの祖母が体が弱く入退院を繰り返しているような状態で、同じく会う機会が少ない。
もしも幼い頃に彼らが近くに住んでいたのなら、助けて……!と声を上げられたかもしれない。
だが、成長していくにつれ、普段から酷い扱いを受けている凛々子は、周囲への甘え方を忘れ、誰かに頼ることのできない性質になってしまっていた。
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