偽物の家族

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 もちろん今回も同じ。 真理子の言われた通りに従う道しかない。 自分の意志とは関係なく、一色に嫁ぐことになるのだ。 誰かが凛々子を助けてくれるなんて、夢のようなことは起こらないだろうから――。 「明日、一色社長がこちらへお越しになるわ。お前との顔合わせをするから、失礼のないようにきちんとご挨拶なさいよ」 「あ、明日……ですか!?」 「そうよ、明日直接お前の顔を見に来ると仰っているの。ほら、今はなんでも加工できてしまうじゃない?写真と実物が違うことがよくあるから、ちゃんと確かめたいんですって」 「そ、そんな……急に仰られても……」 「写真を見せたら気に入られたのよ、一色社長も物好きよね」  何てことだろう、突然のこと過ぎて頭が追いつかない。 それに、家に来るなんて、最悪である。 身の危険しか感じない。 「安心してお姉様、明日は一色社長に気に入られるような色っぽいドレスを貸してあげるわ。それに特別にとびきり美しく見えるようにお化粧もしてあげる。楽しみにしていて」  美波が見下したような目で微笑む。 いつもひどい彼女だが、今は悪魔のようにみえる。 普通にしていれば美しい子であると思うが、凛々子にとってはもう長年、彼女は脅威の存在でしかない。  美波はというと、真理子に容姿がそっくりだった。 目尻が大きく吊り上がった気の強そうな目が印象的なハッキリとした顔立ちで、濃い化粧がよく映える。  それから太っては決してないが骨太のしっかりとした体つきで、身長は一七十センチまであと少しというほどに高い。 同じく真理子も長身でしっかりとした体つきなので、二人が並ぶと威圧感を感じる。
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