595人が本棚に入れています
本棚に追加
「お客さま、どうされました?」
そこで、間に入ってくれたその声。
涙目で顔を上げれば、同じくここの社員である1人の男が可愛らしい顔でにこやかに笑ってそばに立っている。胸の名札には、“真鍋”の文字。
「汐野に何か不手際でもございましたか?」
どこか圧力を感じるその笑顔に、顔が引き攣る男性客3人組。
「え?…あ、いや、別に」
「そうですか。ご注文はもうお済みで?」
「いえ、まだです…」
「では代わりにお伺いいたします」
慌ててメニュー表を見始める彼ら。その男性社員に横目を向けられ、戻るように合図される。
慌ててハンディをしまい、ありがたく奥に引っ込ませてもらった。
最初のコメントを投稿しよう!