609人が本棚に入れています
本棚に追加
「何それ、僕も行きた〜い」
そこでやってくる、可愛らしい口調のその人。
胸には“真鍋”という名札。さっき男性客から助けてくれた人物。私の幼馴染みの、一見普通の男の子。
「…大ちゃん」
「隣の美容室ってイケメンばっかりだよね?なんで僕は誘ってくれないの麻里子ぉ〜」
「ごめんマナちゃん〜。でも彼ら女たらしだしマナちゃんのお眼鏡にはかなわないかなって〜」
「そこを攻略するのが楽しいんじゃーん」
大ちゃん。真鍋大樹。他のみんなからは“マナちゃん”って呼ばれてる。恋愛対象は男の子で、いわゆるゲイ。
打ち明けられたときは驚いたけど、嫌悪感なんて欠片もなかった。どんな大ちゃんでも、昔から知ってる大ちゃんに変わりないし、優しいし、しっかり者でいつも私を助けてくれる。
それに、恋愛対象外だからか、私にいやらしい目を向けてこなくて、そのおかげで私が苦手意識を持たずにずっと一緒にいられている。まるで同性かのような安心感。
私が身内以外で唯一普通に話せる男の子。
「まぁいいや。僕が行くと場を荒らしちゃいそうだしぃ、大人しくしておく」
「ありがとうマナちゃん。また男の子紹介するね」
「よろしくね♡一見俺様、中身は可愛いドM系男子希望♡」
「もぉ〜相変わらずアグレッシブなんだから♡」
「それほどでも♡」
なんて、きゃっきゃっとハイタッチしている麻里子さんと大ちゃん。この2人、気が合うよね。
最初のコメントを投稿しよう!