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(確かに、ありえないよ。)
と僕も心の中で思いながら、口元に笑みを浮かべて笑うのを、必死に堪えていた。かなり変な表情だろうが、目の前の品々の話を信じられないので、仕方ない。
しかし、お婆さんは微笑みを絶やさず、此方を見ているようだった。
「面白そうだから、なんか買おうよ。」
そこで、さらに同級生は僕に提案をしてくる。
僕も頷いて返事をした。
そのまま二人で品物を物色していたら、
「お、…これ良くね?」
と、すかさず同級生が、小物を手にして此方の目の前に見せびらかしてきた。
それは人の形を模した人形のようだ。頭には紐がついていて、大きさ的にはキーホルダーに出来そうである。
「あ、それは良い物ですわ。」
ふと唐突に、お婆さんが呟くと、再び説明をしだした。
「それは、昔、えらい陰陽師の作った人形よ。…災いから人を守る力を秘めてます。」
「アハハ!…また言ってるよ。」
「良さげだし、買おうか。」
それから僕達は、お小遣いから支払いを済ませると、玄関から店を出ていく。因みに五百円くらいだ。
その去り際に、「ありがとうございました。…お帰りは気を付けて、…また、いつか。」
と、お婆さんが言う声が聞こえていた。
だが、僕らは気にもせずに、敷地の外へと走って出ていた。
特に同級生は、どんどんと足を動かして前へと進んでいく。
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