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「はぁ? 何、私に逆らうの? 良い子ちゃん気取って馬鹿じゃないの! 山田なんか庇ってクラス全員敵にしたいんだー。正義感ある自分に酔ってるんですかー? 私の言うことが聞けないんなら、あんたも無視しちゃうからね!」
皆が呆然としている間にも、中島さんは聞くに堪えない暴言を喚き散らします。全て日本語なはずなのに、がなり過ぎて何を言ってるのかよく分かりません。
「まあまあ、もうすぐ昼休み終わるし掃除の場所同じ図工室だろ。一緒に行こ」
知念くんが中島さんの背をポンと叩くと、騒いでいた中島さんがピタッと黙りました。流石の中島さんも、学校で唯一金髪の不良みたいな知念くんには我が儘を言いにくいみたいです。
知念くんが中島さん達を教室の外に連れ出すと、固まっていた皆が一斉に動き出しました。
「ゆりあさん大丈夫?」
「ちょっと何言ってるか分からなかったわ」
ザワザワとする中、何も知らない山田さんが戻ってきました。
「は、何だよ。何見てんだよ」
「いや、何でもないから気にしないで」
それから数日、特に何も変わりませんでした。今までと同じように山田さんは避けられていますが、中島さんはクラスメイトが自分の思う通りに動いていると思っているようでご機嫌です。
ちょっと変ですがクラスの中は平和でした。私も新しく立てた目標である『教室の本棚にある本を全部読む』を達成する為に隙さえあれば本を読むという充実した日々を送っていました。
「おいブス」
唐突な悪口に思わず顔を上げました。山田さんが中島さんの取り巻きの一人に向かって言ったようです。言われた子は一瞬カッとなっていましたが、中島さんに無視を強要されていたのでプイッと知らんぷりをします。その瞬間からクラスの平和はなくなりました。
「あんた足太くない?」
「服、生乾き臭いんだけど」
「あー、顔だけじゃなくて頭も悪いんだ」
他人の私ですらイラッとするような悪口を山田さんは取り巻き達に浴びせ続けます。無視を続けていた取り巻き達も堪らず山田さんをキッと睨みます。
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