『自転車の男の子』

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何処かわからないのですが。 鉄橋というか…高速と言うか… とにかく灰色のコンクリート造りの道路か何かがあって、その下を薄暗いのに私は一人で歩いていました。 周りには人の気配すらしません。 ただただ私一人、何も持たずに歩いていました。 すると、前方に自転車にまたがったまま目の辺りを押さえて俯いている男の子を見つけました。 躊躇う事無く夢の中の私は男の子に話し掛けました。 『どうしたの?』 男の子は顔を上げ答えました。 「目が痛い…目が見つからない…」 「ねぇ、お姉ちゃんの目を頂戴?」   今でもはっきりあの子の顔を思い出せます。 彼は頭から血を流していました。   「ねぇ…くれないの?」 男の子は私の目に向かって手をのばしました。 怖くなった私はそのまま男の子を置いて男の子の前方に逃げ出しました。 チラリと後ろを振り向くと、物凄い形相で追い掛けてきます。 しかし相手は自転車。 確実にじわじわ迫ってきます。 結構な距離を走りました。 それでも男の子は追い掛けてきます。 体力的にも限界だった私は、諦めて走るのをやめました。 『いいよ。あげる。』 その言葉を聞き、男の子は 「…最初からそうしてれば良かったのに。」 笑いながらそう言いました。   そして、言い終わると私の目に手を伸ばしました。 その時視界が暗くなり、私は夢から目覚めました。
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