ニセモノ退散!

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「商売あがったりなんですわ、俺が女の子をたらし込んで、ついてきちゃった女の子に悪さするとかさぁ……なんなん?ひどいなぁ、女の子……傷つける奴は俺、嫌いなんよ」と虹雨が冷たく言うと、彼は指をパチンと鳴らした。 その瞬間、喫茶店の空気が一変する。店内に住み着いている幽霊たちが一斉に現れる。人魂がふわりと浮かび、おじいさんとおばあさんの霊が顔を覗かせ、首無しカップルの霊が二人並んでニセモノたちを囲んだ。 今回は特別に何も見えないはずのニセモノたちにも幽霊が見えるようにしたようだ。 虹雨と由貴は普段から見ているからもちろん平気である。 「こっちの世界でもお前らみたいな奴、見逃せんからな」 と、虹雨が冷笑を浮かべながら続ける。 「僕の名前も使って悪さしてたらしいですねー」と、由貴も声をかける。その声には、いつもとは違う重みが感じられる。 「僕には妻も子供もいますよ」と、由貴が言葉を続けた。 「家族から信頼を取り戻すのに、どれだけ時間と苦労がかかったと思う?」 と由貴がカメラに映すのはお漏らししたズボンからの恐怖に慄く顔。 由貴のニセモノは 「……ふ、ふ、ふふふふつかぁ」 と絞り上げるかのように声を出した。 「ざんねーん、……3日だ!!!」 普段声を荒げない由貴が身を乗り出した。虹雨はまぁまぁとカメラマンに徹しろと宥める。由貴はぶつぶつ何か言って睨んでいるが。 「しかもこの前にも余罪があるようで? 結構被害出てるなぁ……」 と虹雨はスマホで確認している。 「ごごごごめめめんなさぁいいいい!!!」 と泣きじゃくるニセモノたち。 「謝っても遅い。被害者の女の子たちの恨みつらみが生き霊としてお前らに纏わりついてる。特別に見えるようにしてやるわ」 パチン!! 虹雨は指を鳴らした。
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