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そこへ宮野刑事をはじめ数人の警察関係者が到着した。宮野刑事は、気絶して転がるニセモノたちを鼻で笑いながら
「通報ありがとうな、こいつらずっと逃げ回ってて面倒だったんだ」
と言った。
虹雨は淡々と
「こいつらのケアよりも、被害にあった人たちのケアを重点的にお願いします」
と頼む。宮野刑事は
「当たり前だ」
と答え、すぐにニセモノたちを連行するよう指示を出し、彼らは警察に運ばれていった。
由貴はカメラを収め、ほっと一息ついた。そもそもニセモノたちを見つけ出す際、虹雨が街中の霊たちを集め、彼らの手を借りて追い詰めたのだ。
「まぁ、あとは俺らの信頼回復に努めなきゃな。この見た目じゃあ、誤解もされやすいし…」
虹雨はそう言いながら黒スーツを整える。
「霊の皆さんも、演技ありがとうございましたー」
と、宮野刑事たちが去った後、虹雨は再び出てきた幽霊たちに頭を下げる。
実のところ、被害者の生き霊は現れることができなかったため、喫茶店の霊たちが代役を務めてくれていたのだ。
「それと、最後に赤ちゃん連れのお母さん役を演じてくれた渚さんも、ほんとリアルだったなぁ。幽霊じゃないのに、あの迫力はすごかった。特殊メイクでもしたのか?」
と虹雨が感心すると、由貴も嬉しそうに笑って応えた。
「うちの妻と息子も、なかなかの役者やったやろ……渚ー! 太郎ー!」そう言って、由貴は外に待たせていた妻と子供を呼び寄せた。
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