13人が本棚に入れています
本棚に追加
II
翌日。出社するとプログラマーの日高さんが駆け寄ってきた。彼の趣味は小説執筆である。
「おはよう、木之下くん。私の新作小説を読まないかい? “思わせぶりな王女に振り回されていますが、むしろご褒美です”。ふふ、流行りのなろう系タイトルに挑戦しーー木之下くん?」
「気があるような態度をして良いのは二次元だけです!」
「?」
(白峯さん、寿退社ってことは付き合ってる人居たんだ)
僕みたいな非モテに対して紛らわしい態度は慎んでほしい。
あの衝撃発言の後、白峯さんは誰かに呼び出されて帰ってしまい、僕は豪華客室にある大手寝具メーカーの特別製ベッドで一人熟睡した。
社会人としての白峯さんはこの会社のエースでで売上の4割を持っている。そんな白峯さんが寿退社で会社を辞めるなんてーー
(えぇ!? 白峯さんがステラデザインを辞める!?)
「......。」
(辞める!?!? ステラデザインを!?!?)
最初のコメントを投稿しよう!