プロローグ

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プロローグ

(何かの間違いだと思う)  僕は木之下(きのした) 智紀(とものり)。Web制作会社、ステラデザインに勤める23歳の若手ディレクターだ。平均値よりも少し高くて細めな体格をしている。顔はまぁ、普通だ。  そんな僕の今日の予定はーーシチュエーションとしてはデートだ。 「お、お待たせしました」 「いえ、時間通りです。行きましょう」  待ち合わせ場所に現れたのは白のワンピースに麦わら帽子を被った年上の女性だ。ミルクティー色の髪の毛を緩く巻いた彼女は美人の部類に入るだろう。  自然と唾を飲んでしまう。  7月上旬、照りつけるような太陽に見守られながら、僕達はレンタカーを借りて避暑地へと旅立つーー。 「あ、ポッキー食べますか?」  彼女が運転をする僕の口にポッキーを差し込んでくる。平静を装ってはいるが、僕は割と困惑している。 (なんで僕が白峯さん(会社の人)とリゾートホテルに!?)
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