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プロローグ
「アストラルをこちらへ!」
採石で造られた古の闘技場を模した会議場に凛とした声が響いた。それは議長にして機密結社リ:バースで歴代唯一の女性統治者であるイリスの声だった。その声に共鳴するように参席者たちが小さくざわめいた。ついに狂王ダンテに鉄槌が下されるのだと。
会議場の大扉が厳かに開かれると、そこにひとつの影が現れた。ゆらめく薪火に呼応してうねる影は、誰の目にも真の姿を捉えさせることがなかった。
「今やラジロア帝国による隣国クラナへの侵略は、帝王ダンテの独裁によって破壊しか生み出しません。その愚かしき行為は世界の均衡も危うくさせます。よって私達リ:バースは、ダンテの死をもって彼の戦争を終わらせます」
参席者全員が立ち上がり、右手を左胸に当てた。
「よって、聡明なるアストラル。汝の力をもってラジロア帝国の王ダンテを暗殺せよ」
イリスの言葉に、影なるアストラルは片膝を着き深々と頭を下げた。
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