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翌朝、9時。
ユウギの部屋のドアを
乃愛は遠慮がちに叩く。
それでも金属のドアは
コンコンと静かな廊下に響いた。
ヘルパーさんの入る段取りがついて
今日はユウギと江ノ島水族館に行く。
ドアの前でしばらく待っても
中はシンとしている。
2、3分待って
もう一度、叩く。
おはよーと送ったラインも既読が付かない。
部屋の静けさに
乃愛の胸はドキドキと脈打つ。
(ユウギ、起きて!)
何か…無性にイラつく。
あの、民生員が来た
夕方の光景が思い出されたからだ。
キッチンの小窓は開いているらしく
カフェカーテンが微かに揺らめいている。
小さな乃愛は背伸びをして覗くと
部屋の中はカーテン越しにも
もうすっかり昼のような光が差し込み
仕切戸が開け放たれて寝ている部屋まですっかり見えた。
そして乃愛は
今まで
敢えて、しないようにしてたこと…をした。
つまり
目を凝らして
中の様子をうかがった。
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