1、天使失格

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乃愛が民生員に会った数日後。 スーパーのパートから帰った智子に 乃愛が駆け寄った。 制服から着替えもしていない。 「ね、ユウギが施設に送られたって  学校で噂になってるけど」 智子は顔色を変えず スーパーの売残りお惣菜をドサっと下ろすと スニーカーのまま玄関口に座り込んだ。 「ねえ!ママ知ってたの?  ユウギママから連絡きたの?」 智子は、ウンザリしたようにゆっくり首を横に振る。 「今日、パート先で聞いた」 「なんでパート先で?  噂になってるってこと?」 「ちがうの…  ユウギが学校に来てないことや  ユミさんの痣の話を  先週、杉山さんに話したの。  それは…杉山さんのお義姉さんが  民生員やってるって聞いてたから  何か、助けにならないかと思って」 杉山さんというのは 智子の仲の良いパート仲間で ユミのことも知っている。 「… … !!  じゃ、あの民生員 ママのせいでユウギんとこに来たんだ⁈」 「まあ、そうなのよ」 「で、どうしてユウギ施設に入れられたの?  おばさん、また倒れたとか?」 「それが…  ユウギは一時保護施設に  強制的に入れられたらしいの  児童虐待ってことで」 「ぎゃくたい?  え?  ユウギが虐待されたってこと?誰に⁈」 「それが…  よくわからないのよ」 やられて痣を作っていたのは ユミの方だったじゃないか。 乃愛はスニーカに素足を突っ込んで そのまま智子の脇をすり抜け 玄関を走り出た。 「待って!!私も行く!」 あとから智子が走って追ってきた。 2人は黙って、夕暮れの街に 自転車を飛ばす。
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