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本棚に追加絡みあう嫉妬
「中将さぁん♪この後一緒にお食事いきませぇん?」
某大手経済系動画配信の為、スタジオで撮影後朔に声を掛けてきたのは、ちょっとおバカで有名なタレント、ナデシコ・ベルだ。
最近は女優としても活躍しているらしい。年齢は公式発表で30歳だが、私と同年代ぐらいにみえる。
専門チャンネルには、時折全くの専門分野外の素人としての役割をこういったタレントにさせるらしい。
「もちろん〜。マネージャーも一緒ですぅ。こう見えて、ベルは、シャイだし事務所が煩いの。」
すらりとした細くて長い足、デコルテは、画面で見るより細くて逆に痛々しさも感じる程だ。しかし、テレビ画面で見ると細くて綺麗に見えてしまうから不思議だ。
…細すぎる。だけど、とっても綺麗。
女性の私でも見惚れてしまう程、透明な陶器の様な素肌をしていた。
朔は困った顔をして私をじっと見つめていたけれど、助け舟を出さないと判ると重い口を開いた。
「事務所が煩いなら、僕をわざわざ誘う必要は、無いと思いますけど。」
…そりゃそうですね。
ボソッと居心地の悪そうに呟いた朔に、私は笑いを必死に堪えていた。
「もうぅ〜撮影中は、お話しできなかったから、経済のこととか、教えて貰いたかったのにぃ〜。」
「僕は経済的のことは、余り…。それこそ深川先生にお聞きした方がいいんじゃ無いですか?」
朔は全く興味無い様子を隠そうともしなかった。
経済評論家で、若くして准教授の深川も一緒に出演していたが、テレビ、ラジオ、動画サイトで今引っ張りだこだ。経済評論家なのに、金髪にピアス、爽やかな水色のオープンカラー・キューバシャツ、ハーフパンツと言ったラフな格好だ。その恰好を見て、朔がなんで自分だけがスーツなのか…と本番前は、ごね通しだった。
「え~っ。中将さんってクールで、素敵だしぃ。彼女居ないんですよねぇ。」
隣で並ぶとお似合いのふたりだ。ベルの傍に居ると、とても良い香りがする。
「僕、今そんな暇ないですし、必要無いです。」
眉を潜めつつ私をみながら、ため息をついた。殊にプライベートのこととなると、アドリブが利かないので、良く聞かれる質問の何種類かの受け答えを、覚えて貰った。
「あれっ!恋っ?!」
聞き覚えのある声だった。
…洸気?
「やっぱり、恋だ♪」
深川とスタッフと話をしていた中に、洸気の姿があった。朔をひとりぼっちに出来ないと思いつつも、近づいてくる洸気の元へと歩いた。
「どうしたの?」
「ああ…この後、深川先生の本のスチール撮影があるんだ。やっと時間を取って貰えたんだよ。」
広告代理店勤務の洸気に逢うとは思わなかった。
「そう…。」
私は、朔を視線で追っていた。ベルが一方的にしゃべり続けている様に見えた。
「君は?」
深川が、やってきたので、簡単に挨拶を済ませるとそのまま朔を、す通りしてベルのところへと向かって何かを話し掛けていた。助かった…という風に朔がこちらへとやって来た。
「COO…こちらは、スカイエージェンシーの洸…、武井洸気さん。そして、洸気…あ…武井さん、こちらはLtGenのCOO 中将朔弥です。」
動揺する余り、一瞬苗字が出てこなかった。
「初めまして。」
洸気は、人懐っこい笑顔を浮かべて名刺を差し出した。
「すみません。名刺を切らせておりまして…。恋の婚約者の中将です。」
…!!!
「まだ公にはしておりませんが…。」
朔は、口元にほんの少し笑みを浮かべ答えた。
洸気の顔から一瞬、笑顔が消えた様に思えたが、そうですか…と、静かに答えた。
「お話中失礼。この後ベルさんと皆で食事をしようと話していたんだが、どうかね?」
ベルが深川から見えない場所で、手を合わせてお願いのポーズをしている。マネージャーも一緒だし大丈夫だと思うが、やけに焦っている。
「武井君、秘書さんも、COOもどうですか?」
見た目は遊んでそうな雰囲気を醸し出しているけれど、深川は年齢に合わず、落ち着いた話し方をしていた。
「では…食事だけなら。」
朔が、私の目配せに気がついて答えた。本当は一刻も早く洸気の前から逃げ出したいけど、深川と顔見知りになっておくことは、今後の朔の為にもなると思ったからだ。
「では…店はこちらで予約をしておきますので、また後で。」
深川は、立ち去る前にベルにも声を掛けてスタジオから出て行った。
「あ…では、俺も失礼します。」
洸気も、深川の後を慌てて追って行った。

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