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LINEで異性と仲良くなるというより、仲良くなるきっかけを与えてくれているだけな気がする
あっやばい。遅刻ぎりぎりの時間だ。
やっぱり昨日疲れていたし、それと寝る前にスマホをいじらなかったからどことなく、深い眠りにつけた気がする。
取り敢えず急いで、制服に着替えて、自室を出てリビングに向かう。
「あらっ。いつもより起きるの遅かったわね。」
「ねー。そういうときは起こしてって言ってるじゃん。」
「はいはい。次からそうする。」
「いっつもそう言っても、起こしてくれないじゃん。」
「もー。そんなに文句いうなら、せっかく見つけた携帯返さない。」
「ごめん。ごめん。やっぱりあったのね。」
携帯が見つかったのはとりあえず安心した。もう携帯を手放す生活は無理だ。
「気をつけてね。行ってらっしゃい。」
取り敢えず、携帯が手元にあるからLINEを確認したいけど、学校に行くまでに見る時間がない。急いで自転車に乗り、いつもより足に力を込め、形づくられた日常が今日もスタートした。
いつもどおり、教室の一番後ろの席につく。昨日、席替えがあったので、久しぶりに一番後ろの席になり、みんなを見渡せる高揚感があるから気分良い。しかも、ずっと同じクラスになってから気になっている高妻玲奈が隣の席になって、僕の周りの空気だけ、清涼できらきらした雰囲気を纏っている。
けれど、高妻さんに対していつも緊張してうまくしゃべれないし、当たり障りのない会話をLINEでもしていた。この仲良くなるチャンスをうまく活かせないでいた。
「おはよう。田ノ上君ってポ○モン好きだったんだね。私も好きで、いまもSW○ITCHでしてるよ。」
今日は高妻さんの方から話しかけてくれた嬉しさと同時に、なぜその情報を知っている。
「そうそう。好きだよ。高妻さんが好きなの意外だね。」
「そう?私、暇なときはよくゲームしてるよ。田ノ上君こそ、昔ピ○チュウのモノマネしながら、親と会話してたんだね。なんか意外な一面知れて面白かった。」
おいおい、その情報は恥ずかしすぎるぞ。小学生の頃はポ○モンのものまねにはまり、よく友達に、モノマネを披露して、何のポ○モンかを当ててもらうゲームをしていた。しかも、親との会話中でもポ○モンの鳴き声で応答してたし、特にピ○チュウに自身があった。
「ねー。ピ○チュウのモノマネしてよ。」
「ここじゃ、恥ずかしいから嫌だよ。」
「ふーん。じゃ機会があったら絶対見せてね。」
「機会があったらね。」
まさか、ポ○モンの話が盛り上がるとは思わなかった。
携帯を確認すると、やっぱり高妻さんとお母さんがLINEでやりとりをしていた。
なんか、俺の文章、いつもは文字だけなのに、絵文字が多く追加されている。けどさすが母親である。口調は俺そっくりだ。
反対に考えると、これは母親にLINEを任せてみると、なんか良いことがおこるんじゃないかと思い始めた。
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