ふたり、ひらり

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薄暗い空に星が顔を出し始めた頃、家まで送ってくれることになった。 一時的な土砂降りも落ち着いたとは言え、必然的にまたデコボコ相合傘をするわけで…。 シャンプーで整った癖毛、少しボリュームが抑えられたけれど、横に並ぶと視界に映って邪魔なんじゃないかなあ。 なんて、気分が沈むのは、小学生のときクラスメイトに揶揄われたことを、ふと思い出したから。 ——うわあ。うねうね ——らんこちゃんの髪、いつもすごいねえ ——毎日櫛してるの?後ろもボサボサだ〜〜変なの。どうして真っ直ぐじゃないの? みんなと一緒じゃないヘンテコな髪型をした私。 コンプレックスで好きじゃない。 「あの」と言いかけた。途中で止めれば「ん?」と不思議そうに、小さな声で相槌を出して結んだ唇を緩める。 揺れて彷徨う視界。深い宵闇に黒髪が溶け込んだ。 「ダメなわけ?」 「癖毛が目に入って邪魔になるので、後ろを歩きます」 こと…と首を傾げながら瞳を覗き込まれた。 俯き加減に後退りすると、一歩近づいて追いかけられる。息がくるしい。 私の大嫌いなコンプレックスに、ゆっくり視線が落ちてきた。 目の前の綺麗な人は、唇に淡い笑みを浮かべて告げる。
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