ふたり、ひらり

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「いいじゃん。ふわふわで可愛いよ」 「…………」 「それに“邪魔だ”なんて思ってない」 その瞬間、心が晴れた。 凹凸な相合傘で歩いた、雨降る秋の帰り道。 お礼がしたくて名前を聞いたの。 ——望月響(もちづきひびき) 望月さんって言うんだ。学年は同じじゃないよね?……先輩、ぽい。 ——あの、私は…… ——らんこ !! ——知ってる。さっき、朱音と話してるの聞こえてきたから ふ、と彼の口角が上がった。 ——はい。茅野蘭子(かやのらんこ)です。一年生です 少し寂しい雨の中、見上げたビニール傘の上から星屑が瞬いて、まるで星柄傘のようだった。
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