13人が本棚に入れています
本棚に追加
帰り際、望月先輩は「お礼、いらねえから」と言ったけど、私はお礼がしたかった。
どうしたら、望月先輩に話しかけれる機会があるかなあ。
美容院は毎日いるわけじゃないし、学校は……二年の教室に一人で行くのに勇気がいる。
先輩たち、派手だからちょっと怖いもん。……望月先輩も“目立つ先輩”って感じだった。
(あの日、自分は二年生だって教えてくれたの)
待ち伏せってわからないように、自然に会うにはどうすれば……ううーん。
ど、どうしよう。わかんなくなっちゃった。
誕生日ケーキを食べてるときも、お風呂に入ってる間も、部屋でストレッチを頑張ってるときも、スキンケアを念入りにしてるときも、頭の中でぐるぐる悩みが回って。
ベッドで横になる前……机の上にコンタクトを置いた。
ほんとは今日、初めて付ける予定だったの。
眼鏡じゃない蘭子で、当麻くんの隣を歩きたかったけど、朝起きたら怖くなってやめたんだ。
じわり。涙が溢れた。
「(明日こそ、つけよう。ダサダサ眼鏡とおさらばしなくちゃ。らんこ、勇気を持って…大丈夫、私は変わるんだ)」
もう、恋心で泣かないって決めたから。
最初のコメントを投稿しよう!