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大声で泣いた日
わたしがいい子じゃないから?着の身着のまま飛び出したわたしはしゃくり上げて泣いていた。
(おかあさんはどこ?)
お母さんの言いつけ通りにしていたらお腹がすいた。わたしのために残してくれたお金は使い果たして、無施錠のオンボロアパートから飛び出して泣き歩く。
「どうして泣いてるんだ?」
泣き疲れ歩き疲れた果てに行き着いた先はいつもの公園のベンチ。
「・・・・・」
知らない男の人だから話せない
子猫みたいに大きな瞳をした優しそうな男の人が口を挟む。
「海里の聞き方がこわいんだよ。子供相手に眉間寄せちゃダメでしょ?ごめんね」
海里と言われた男の人は渋い声でひげ面でこわい顔をしている。わたしは手の甲で涙を拭いながら顔を左右に振っていた。
「きみの泣き声を聞いて駆けつけたんだけど、大人の人はいるかな?」
優しそうな男の人はわたしに視線を合わせてくれる。同じように海里と呼ばれた男の人もしゃがんでくれてわたしの返事を待ってくれる。
「ずっと・・・ずっと」
お母さんを待ってたの
そう言えなくて、また大粒の涙が流れたとき、渋い声の海里さんが大きなため息を吐く。
「はぁぁー。だから関わるなって言ったろ?玲哉が泣かせた。どうするんだよ」
大人がため息を吐くときはわたしがいけないことをしたときだ。謝らなくちゃ。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん・・・」
頭を深く下げていいよって言われるまであげない。お母さんみたいに髪を引っ張られるのかな?いけない子だって頬を叩かれるのかな?
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