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実は夫にも隠したままの、さらなる秘密がある。
夫と結婚後に出来た子供だけれど、蘭の血縁上の父親は夫ではなく、当時まだこっそり関係が続いていた私の元彼。
だから卓と蘭には、血の繋がりは全くないのだった。
ふと意識を現実に戻せば、二人は砂遊びを終わらせて、滑り台の方へ向かっていた。
仲良く手を握り合いながら、また例の言葉を交わしている。
「大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!」
「残念だけど、血の繋がった兄妹は結婚できないんだ」
私は最近、この会話を耳にするたびに、少し複雑な気持ちになってしまう。
もしも将来、二人が真相を知ったらどうなるのだろうか、と。
いや将来どころか、子供というものは案外、勘の鋭い生き物だから、既に薄々真相を感じ取っているかもしれない、と。
(「卓と蘭の秘密」完)
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