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そしてその日、ヒヤシンスは芽を出してくれて……だから私は、今度は勉強机の隣、窓際に置いた。芽吹いてからは、日当たりの良いところに置いておくのが良いみたいだ。
それ以降は部屋にいる時にはずっと、緑色に輝くヒヤシンスの芽を見ることができた。
それは、日が経つごとに少しずつ、上へ上へと伸びてゆき、葉っぱになって、すくすくと育っていった。そのうちに、葉と葉の間に緑色をした沢山のかたまりがぎゅっと詰まっているのが見えた。おばあちゃんが家に来た時、私は尋ねてみた。
「おばあちゃん。たくさんあるこれは、何?」
「これはね、ヒヤシンスのつぼみだよ。お花になるための準備を始めているんだね」
「わぁ……」
私はとっても、幸せな気持ちになった。
毎日、見るたびに、ヒヤシンスは少しずつ、成長していた。小学校でお友達とけんかをした日にも、仲直りをした日にも。テストのために一生懸命に勉強をしている間も、百点を取って、お母さんがほめてくれた日にも。
そうしてやがて、私のお部屋は、春の若葉のような匂いでいっぱいになって……ヒヤシンスは沢山の黄色い花を咲かせた。
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